ささやかに。地味に。毎日。

完全に個人の備忘録です。

5月の読書記録(2)

3.明日への記憶(荻原 浩)

 私も実は主人公と同年代。物忘れ・・・というか、だんだん固有名詞がアヤシクなってきているし、ついさっき見聞きした出来事が本当に頭に残らなくなってきた。だからこそ、大して人様に発信すべき情報もないのに突発的にブログ始めてしまったんだけど。でもこれが若年性アルツハイマーのなせる技だったとしたら・・・。怖い。

 主人公は50歳の広告代理店の営業部長。最初は「これ私もあるなぁ」という芸能人やスポーツ選手の固有名詞の度忘れレベル、そして、過労気味の人にありがちな頭痛、目まい、不眠・・・だったのが、本当に、慣れた道を間違えてしまったり、同僚の名前を度忘れしてしまったり、と、アルツハイマーの病の進行がどんどん激しくなってくる。仕事にも支障が出てきて苦しいことになる。趣味の陶芸に活路を見出すも、とある出来事があってそれもままならなくなる。「備忘録」として書いている日記も、目に見えてひらがなが多くなり、たまに書いてある漢字も誤字が多くなる・・・。壊れた脳細胞はもう元には戻らない。回復を迎える、というような、夢のようなハッピーエンドは、この話には起こらない。

 この話、一人称で書かれているので、本人の心の動きはつぶさに書かれ、考え方も論理的なように思えるのだが、一転、見方を変えると、アルツハイマーが進行した状態の主人公は、危なっかしいことこの上なく、それが逐一衝撃的。

 最終的には家族の顔も思い出せなくなり・・・。でも、好ましいと思える人はそんな状態でも変わらないのだね。