ささやかに。地味に。毎日。

完全に個人の備忘録です。

中野のお父さん(北村 薫)

 仕事の関係で読みたい本がいくつかあって、でもいきなり購入するのも気が進まず、地元の図書館初めて利用することにした。で、結局仕事の本は後回しにして、趣味で借りた小説の本を先に読み終えてしまうという・・・(^◇^) 自分でもそうなるんじゃないか、とは思っていたけれど。

 

 まだ文庫本になってない北村薫さんの本。北村さんの本には文芸誌の編集者がよく登場するが、この話の主人公も編集者。そしてお父さんというのは、その主人公のお父さんだ。定年間近の国語の先生。文学のみならず、歌舞伎、落語といった古典的日本文化全般に詳しく、娘が仕事の中で出てきたちょっとした疑問をたちどころに推理してみせる。円紫さん的な役割の人だ。

 

 一番心に残ったのは「茶の痕跡」。マニアの心理の恐ろしさ、計り知れなさ。そしてそれが半世紀以上前の出来事で、真実がわかったところでもはや何も取り返しがつかない、という虚しさも感じた。

 

 そして一番心に響くのは、娘に対するお父さんの愛情。表紙の小さなミコちゃん(美希さん)が一輪車の練習をする姿を、温かく見守る姿。これに象徴されるように、お父さんの愛情が温かく、でも、からりと感じられて、自分でも父親に連絡したくなってしまう。どうしているかな。